Nature ハイライト
微生物学:海底堆積物中の細菌が作り出す生きた送電線
Nature 491, 7423
多細胞生物にとって大きな難問となるのは、すべての細胞に栄養と酸素を行き渡らせることである。N Risgaard-Petersenたちは、この問題に対して、デンマークのオルフス湾で採取された海底堆積物の上層に生息する、Desulfobulbaceae科の糸状性(多数の細胞が連なって糸状になる)の細菌が、意外な解決法を編み出していることを報告している。この細菌からなる糸は長さが数センチメートルにもなり、生きている送電線として機能しているらしく、海底深部にある無酸素層の有機物中で生成する硫化物から、表層に存在する酸素まで電子を輸送することができる。この生きた極細の送電線は、今後の研究テーマを多数提起しており、技術面への応用も見いだせるかもしれない。
2012年11月8日号の Nature ハイライト
宇宙:太陽系近傍星に発見された地球質量の系外惑星
脳:中脳ニューロンによる報酬と忌避の調節
微生物学:海底堆積物中の細菌が作り出す生きた送電線
生化学:タンパク質の折りたたみをもっと容易に
宇宙:超光度超新星の発見
地球:極運動を抑える力
合成生物学:人工遺伝子回路の複雑性をレベルアップ
免疫:B細胞由来のインターロイキン21
細胞:DNA一本鎖上でのRecAの働き
生化学:piRNA合成におけるZucchini酵素の役割