Nature ハイライト
物理:極性分子の光電冷却
Nature 491, 7425
極低温極性分子は、量子情報科学、極低温化学、標準的なモデルを超えた物理を含むさまざまな基礎研究で興味が持たれている。しかし、多原子分子を極低温まで冷却する一般的な方法はなかった。今回、約100万個のフッ化メチル(CH 3 F)分子の温度を10分の1以下に下げることができる光電冷却法(optoelectrical cooling)が実証されている。この手法では、分子がポテンシャルエネルギーの丘を絶えず「登る」ようにする「シジフォス効果」を用いて、運動エネルギーを除去する。ほかの冷却機構とは対照的に、これはトラップ中で進行し、三次元すべての方向で冷却が進み、多種多様な極性分子でうまく働くはずである。今回用いたチップ型のトラップ-ガイド構造は、低温分子と極低温分子を用いた量子情報処理に使うのに適している。
2012年11月22日号の Nature ハイライト
微生物:海洋のメタン還元機構
脳:海馬での記憶固定
免疫:Treg細胞依存的な免疫寛容の調節
宇宙:冥王星やエリス並みにわかってきたマケマケの姿
物理:極性分子の光電冷却
材料:リズミカルな自己集合
化学:油–水界面における作用
神経:明暗周期の乱れがうつを引き起こす
細胞:パーキンソン病で見られる細胞核の異常
細胞:免疫細胞運命のキュリン3による調節