Nature ハイライト
細胞:抗がん機構としてのセリン欠乏
Nature 493, 7433
がん抑制因子p53は、さまざまなストレス応答経路で機能を果たしている。今回K Vousdenたちは、セリン欠乏条件下ではp53が細胞増殖を抑え、セリン代謝をグルタチオン産生に向かわせて活性酸素種を制限して、がん細胞の生存を助けることを報告している。p53を欠損した細胞は、こうした適応ができず、セリン欠乏に対して著しく脆弱になる。これらの知見をもとに、マウスモデルに与える食餌からセリンを抜くと、p53欠損腫瘍の増殖を抑えることができた。この研究からすると、低セリン食や、酵素を使ったセリン除去などの方法によるセリン枯渇は、がんの治療法候補としてさらに調べる価値があると考えられる。
2013年1月24日号の Nature ハイライト
気候:エーミアン間氷期の気候の詳細な記録
神経:LTPと記憶について考え直す
宇宙:太陽コロナ加熱を垣間見る
環境:耕作限界地でのバイオ燃料生産
地球:「安定した」断層部分の激しい活動
神経科学:うつに果たす腹側被蓋野ニューロンの役割
細胞:抗がん機構としてのセリン欠乏
構造生物学:風疹ウイルスのエンベロープ糖タンパク質の構造
生化学:TET2はヒストン修飾を促進する