Nature ハイライト

Cover Story:そっとひとなで:なでられるのが快感となる訳を説明する「マッサージ」ニューロン

Nature 493, 7434

絵筆でなでられるマウス。
絵筆でなでられるマウス。 | 拡大する

Credit: D. Anderson lab, Caltech

哺乳類では、皮膚への快い刺激は重要な社会的機能を持っている。だが分子神経生物学では、このような刺激は不快刺激に対する応答ほどには注目されていない。D Andersonたちは今回、生きたマウスでカルシウム画像化法を使い、皮膚の有毛部にあって、Gタンパク共役型受容体のMRGPRB4分子を発現している小さな感覚ニューロン集団が、自然な毛繕いに似せた、小型の絵筆によるなでるような接触に対して特異的に応答するが、つねりや突きのような刺激には応答しないこと、またこうした侵害刺激に応答するのは、MRGPRDを発現する別の感覚ニューロン群であることを明らかにしている。MRGPRB4+ニューロンを薬理学的に刺激すると、行動に正の強化的影響が表れる。この「なで感受性」ニューロンは、ヒトなどの哺乳類の皮膚有毛部にある無髄の機械刺激受容ニューロンのC-触覚求心繊維と似ている。この新規ニューロン集団の機能的な性質を調べれば、正の感情状態、つまり快感と関連した情報変換の分子機序や神経回路を突き止める道が開くかもしれない。表紙写真は、カンボジアのアンコール河畔のサルたち。

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