Nature ハイライト
Cover Story:そっとひとなで:なでられるのが快感となる訳を説明する「マッサージ」ニューロン
Nature 493, 7434
哺乳類では、皮膚への快い刺激は重要な社会的機能を持っている。だが分子神経生物学では、このような刺激は不快刺激に対する応答ほどには注目されていない。D Andersonたちは今回、生きたマウスでカルシウム画像化法を使い、皮膚の有毛部にあって、Gタンパク共役型受容体のMRGPRB4分子を発現している小さな感覚ニューロン集団が、自然な毛繕いに似せた、小型の絵筆によるなでるような接触に対して特異的に応答するが、つねりや突きのような刺激には応答しないこと、またこうした侵害刺激に応答するのは、MRGPRDを発現する別の感覚ニューロン群であることを明らかにしている。MRGPRB4+ニューロンを薬理学的に刺激すると、行動に正の強化的影響が表れる。この「なで感受性」ニューロンは、ヒトなどの哺乳類の皮膚有毛部にある無髄の機械刺激受容ニューロンのC-触覚求心繊維と似ている。この新規ニューロン集団の機能的な性質を調べれば、正の感情状態、つまり快感と関連した情報変換の分子機序や神経回路を突き止める道が開くかもしれない。表紙写真は、カンボジアのアンコール河畔のサルたち。
2013年1月31日号の Nature ハイライト
物性:凝縮物質における新しい「hastatic」秩序
細胞:ミトコンドリア遺伝子の置換
構造生物学:スプライソソームの作用機構の解明
宇宙:惑星の行く末を探る
材料:生体模倣高分子ネットワーク
環境:後退する熱帯の泥炭地帯
遺伝:ヒアリでは社会性染色体が女王の数を支配する
細胞:Rag GTPアーゼはmTORC1のための栄養センサー
細胞:リンゴ酸酵素とp53の相互作用
構造生物学:V1-ATPアーゼの回転機構