Nature ハイライト

再生医学:爪が指の再生を制御する

Nature 499, 7457

切断から5週間で再生した正常なマウスの指先(上)と、Wntシグナル伝達経路を持たないため再生が起こらなかったマウスの指先(下)。
切断から5週間で再生した正常なマウスの指先(上)と、Wntシグナル伝達経路を持たないため再生が起こらなかったマウスの指先(下)。 | 拡大する

Credit: Ito Lab

マウスやヒトでの指先の再生は、哺乳類における器官再生の顕著な例である。しかし、この能力は非常に限られており、爪よりも根元側で切断された場合、指は再生しない。伊藤真由美(米国ニューヨーク大学医学系大学院)たちは、マウスで爪幹細胞の分化を制御する機構が、指の再生を調整する能力と直接結びついていることを明らかにし、この過程に新たな知見をもたらした。爪の前駆細胞は爪幹細胞の先端側に存在しており、Wntシグナル伝達に依存する過程により爪へと分化する。Wntシグナル伝達の活性化は爪の再生にも、また切断後に指全体の再生を促す神経の誘引にも必要とされる。著者たちは、爪幹細胞が手指などを失った患者の新たな治療法の開発に使えるだろうと考えている。

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