Nature ハイライト
再生医学:爪が指の再生を制御する
Nature 499, 7457
マウスやヒトでの指先の再生は、哺乳類における器官再生の顕著な例である。しかし、この能力は非常に限られており、爪よりも根元側で切断された場合、指は再生しない。伊藤真由美(米国ニューヨーク大学医学系大学院)たちは、マウスで爪幹細胞の分化を制御する機構が、指の再生を調整する能力と直接結びついていることを明らかにし、この過程に新たな知見をもたらした。爪の前駆細胞は爪幹細胞の先端側に存在しており、Wntシグナル伝達に依存する過程により爪へと分化する。Wntシグナル伝達の活性化は爪の再生にも、また切断後に指全体の再生を促す神経の誘引にも必要とされる。著者たちは、爪幹細胞が手指などを失った患者の新たな治療法の開発に使えるだろうと考えている。
2013年7月11日号の Nature ハイライト
細胞生物学:足場タンパク質の役割は支えることだけではない
生化学:RNA結合タンパク質の標的
医学:結核菌が生き続ける仕組みを解明
宇宙:見えない惑星はたぶんそこにはない
光学:鏡を使わない光閉じ込め
気候:気候制御のための制限対象を広げる
遺伝:円石藻エミリアニア属のゲノムから明らかになった高い多様性
分子生物学:マラリア原虫の多様な見せかけ
再生医学:爪が指の再生を制御する
細胞生物学:脂質スイッチによるエンドサイトーシスの制御