Nature ハイライト
構造生物学:意外な塩基対形成がリボソームをだます
Nature 500, 7460
mRNAがタンパク質へと翻訳される際、タンパク質をコードしている配列が終わる部位は、3塩基からなる終止コドンによって示される。終止コドンはアミノ酸をコードしていないが、最近、1番目の塩基をプソイドウリジン(略号Ψ、ウリジンのC-グリコシド異性体)に変えるとアミノ酸が取り込まれて、翻訳が終止コドンを通り過ぎて続くようになることが明らかにされた。V Ramakrishnanたちは、A部位にΨAGを持つmRNAが結合したリボソーム30Sサブユニットとセリン転移RNAの一部からなる複合体を作製し、その結晶構造を決定した。この構造から、コドンの1番目の位置に予想外のプリン–プリン塩基対があり、さらに2番目、3番目の位置にも異例な塩基対が形成されていることが明らかになった。この研究によって、リボソームの暗号解読中心が可塑性を持つことの証拠が、また1つ得られた。
2013年8月1日号の Nature ハイライト
医学:遅発性アルツハイマー病の発症
宇宙:球状星団の年代と金属量の関係
応用物理学:細胞用のナノ温度計
材料科学:伸縮性を持つナノ粒子導体
海洋学:赤道太平洋における季節サイクル
発生:プラナリアの再生能力を制御する
細胞:エピジェネティックな記憶と多能性
生物物理:トリガー因子がタンパク質の誤った折りたたみを防ぐ仕組み
構造生物学:意外な塩基対形成がリボソームをだます