Nature ハイライト

構造生物学:意外な塩基対形成がリボソームをだます

Nature 500, 7460

mRNAがタンパク質へと翻訳される際、タンパク質をコードしている配列が終わる部位は、3塩基からなる終止コドンによって示される。終止コドンはアミノ酸をコードしていないが、最近、1番目の塩基をプソイドウリジン(略号Ψ、ウリジンのC-グリコシド異性体)に変えるとアミノ酸が取り込まれて、翻訳が終止コドンを通り過ぎて続くようになることが明らかにされた。V Ramakrishnanたちは、A部位にΨAGを持つmRNAが結合したリボソーム30Sサブユニットとセリン転移RNAの一部からなる複合体を作製し、その結晶構造を決定した。この構造から、コドンの1番目の位置に予想外のプリン–プリン塩基対があり、さらに2番目、3番目の位置にも異例な塩基対が形成されていることが明らかになった。この研究によって、リボソームの暗号解読中心が可塑性を持つことの証拠が、また1つ得られた。

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