Nature ハイライト
神経科学:長い遺伝子の発現低下
Nature 501, 7465
トポイソメラーゼはDNAの巻戻しに関わる酵素であり、脳の全体で発現し、自閉症スペクトラム障害(ASD)の患者ではこの酵素に変異が見られる場合がある。今回M Zylkaたちは、トポイソメラーゼ活性を低下させると、マウスやヒトのニューロンで長い遺伝子の発現が選択的に低下し、これが転写伸長の障害によることを明らかにした。著者たちは、Cntnap2、Nrxn1やCntn4をはじめとする多くのASD候補遺伝子が並外れて長いことを指摘し、いくつかのASD候補遺伝子の発現がトポイソメラーゼの阻害によって減少することを示している。これらの知見は、化学物質や遺伝子変異でトポイソメラーゼを障害するものだけでなく、おそらくは転写装置を構成する他の因子を障害するものも、ASDや他の神経発達障害に関与している可能性を示唆している。
2013年9月5日号の Nature ハイライト
神経科学:細菌は厄介な痛みの種
神経科学:長い遺伝子の発現低下
病原微生物学:2つの炭疽毒素の標的は別々
量子情報科学:安全な情報ネットワークへの大きな一歩
物理学:量子ポイントコンタクトにおける「0.7異常」の解明
無機化学:簡便な窒素固定法を求めて
生物地球化学:植生の夜と昼の生産力
免疫:B細胞が形成されるもう1つの場所
細胞生物学:ゴルジ輸送複合体中の2つの輸送経路