Nature ハイライト
無機化学:簡便な窒素固定法を求めて
Nature 501, 7465
工業的な窒素固定は、ハーバー-ボッシュ法によって非常に大きな規模で行われている。ハーバー-ボッシュ法は、高温・高圧条件の下で固体鉄触媒を用いる。合成化学の分野では、数十年にわたって、植物や細菌中のニトロゲナーゼを手本に、窒素からアンモニアへの還元反応を温和な条件で触媒する小さな金属錯体が探し求められてきた。今回J Petersたちは、鉄がトリス(ホスフィン)ボランに担持された錯体が、この反応を温和な条件下で触媒し、その効率が妥当であることを報告している。今回の結果は、窒素固定反応の仲介には単一の鉄部位だけで十分であることを示唆している。また、FeMo補因子やニトロゲナーゼ中にはモリブデンも存在するが、モリブデンではなく鉄が窒素結合・活性化部位であることを示す最近の生化学的・分光学的データと一致している。
2013年9月5日号の Nature ハイライト
神経科学:細菌は厄介な痛みの種
神経科学:長い遺伝子の発現低下
病原微生物学:2つの炭疽毒素の標的は別々
量子情報科学:安全な情報ネットワークへの大きな一歩
物理学:量子ポイントコンタクトにおける「0.7異常」の解明
無機化学:簡便な窒素固定法を求めて
生物地球化学:植生の夜と昼の生産力
免疫:B細胞が形成されるもう1つの場所
細胞生物学:ゴルジ輸送複合体中の2つの輸送経路