Nature ハイライト
がん:老化がん細胞を補助的薬剤の標的とする
Nature 501, 7467
細胞傷害性の治療法では細胞の老化が誘発されることがあり、これはがん細胞の制御されない増殖を停止させるので、望ましい結果である。だが、老化細胞が増えて、たまるのは、あまり好ましくない。C Schmittたちは、リンパ腫のマウスモデルを使って、化学療法によって生じた老化細胞は代謝過程への依存性が高まるため、グルコース利用やオートファジーを阻害する薬剤に対する感受性が選択的に高くなることを明らかにした。マウスモデルでグルコース代謝を遺伝的に、あるいは薬物によって阻害すると、どちらの場合も腫瘍の退縮が誘発され、生存率が上昇した。このことから、リンパ腫患者、またおそらくは他のがん患者でも、化学療法によって細胞の老化が起こる場合には、標的を定めた併用療法が有効だろうと考えられる。
2013年9月19日号の Nature ハイライト
発生:ヒト脳の新しいモデル
細胞:ダウン症候群と過剰なUsp16との結びつき
構造生物学:重要な細菌膜タンパク質の構造
宇宙:銀河系中心の強力な磁場
工学:より簡単にした太陽電池
ナノ材料:金に匹敵する銀ナノ粒子
気候:太平洋の寒冷化が地球温暖化を休止させる
がん:老化がん細胞を補助的薬剤の標的とする
医学:トリパノソーマのAPOL1抵抗性
免疫:古代の免疫系を垣間見る