Nature ハイライト
医学:トリパノソーマのAPOL1抵抗性
Nature 501, 7467
ヒトは通常、血清中の抗寄生虫分子アポリポタンパク質LI(APOL1)によって病原性トリパノソーマから守られている。しかし、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)の2つの亜種、ローデシアトリパノソーマ(T. b. rhodesiense)とガンビアトリパノソーマ(T. b. gambiense)はAPOL1に抵抗性を持ち、ヒトの睡眠病のほとんどはこの2つによって引き起こされている。今回、ガンビアトリパノソーマがAPOL1に抵抗性を示す仕組みが明らかになった。これには、3つの相補的な過程が関わっている。すなわち、APOL1の取り込みの低下、APOL1分解の亢進、それに特異的抵抗性因子によるAPOL1標的膜の修飾である。この抵抗性は、いくつかの条件を選べば回避可能なので、これらのトリパノソーマ感染への治療介入に新たな道が開けそうだ。
2013年9月19日号の Nature ハイライト
発生:ヒト脳の新しいモデル
細胞:ダウン症候群と過剰なUsp16との結びつき
構造生物学:重要な細菌膜タンパク質の構造
宇宙:銀河系中心の強力な磁場
工学:より簡単にした太陽電池
ナノ材料:金に匹敵する銀ナノ粒子
気候:太平洋の寒冷化が地球温暖化を休止させる
がん:老化がん細胞を補助的薬剤の標的とする
医学:トリパノソーマのAPOL1抵抗性
免疫:古代の免疫系を垣間見る