Nature ハイライト

医学:トリパノソーマのAPOL1抵抗性

Nature 501, 7467

走査型電子顕微鏡で撮影された、マウスの肝臓内血管で成長する感染5日後のトリパノソーマの疑似カラー画像。
走査型電子顕微鏡で撮影された、マウスの肝臓内血管で成長する感染5日後のトリパノソーマの疑似カラー画像。 | 拡大する

Credit: Gilles Vanwalleghem, Daniel Monteyne and David Pérez-Morga, CMMI, Laboratory of Molecular Parasitology, Université Libre de Bruxelles, Belgium

ヒトは通常、血清中の抗寄生虫分子アポリポタンパク質LI(APOL1)によって病原性トリパノソーマから守られている。しかし、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)の2つの亜種、ローデシアトリパノソーマ(T. b. rhodesiense)とガンビアトリパノソーマ(T. b. gambiense)はAPOL1に抵抗性を持ち、ヒトの睡眠病のほとんどはこの2つによって引き起こされている。今回、ガンビアトリパノソーマがAPOL1に抵抗性を示す仕組みが明らかになった。これには、3つの相補的な過程が関わっている。すなわち、APOL1の取り込みの低下、APOL1分解の亢進、それに特異的抵抗性因子によるAPOL1標的膜の修飾である。この抵抗性は、いくつかの条件を選べば回避可能なので、これらのトリパノソーマ感染への治療介入に新たな道が開けそうだ。

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