Nature ハイライト
神経科学:昆虫の脳で行われている視覚認識
Nature 503, 7475
昆虫は複雑な視覚パターンの認識や記憶課題を行うことができ、こうした能力の存在が飛翔などの高度な運動行動の遂行を支えている。しかし、ハエの中心複合体と呼ばれる脳構造のニューロンが視覚特徴を表現しているのかどうか、もしそうなら、どのように表現しているのかはよく分かっていなかった。今回J SeeligとV Jayaramanは、頭部を固定した状態で歩行や飛翔をしている際のキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の中心複合体ニューロンを画像化して調べた。その結果、中心複合体中の環ニューロンは、移動方向選択的な方位同調性などの視覚特徴を表現しており、哺乳類の一次視覚野にある単純細胞とよく似ていることが分かった。この研究は、視覚にガイドされた運動指令に使われる神経回路を遺伝学的に解析するための基盤となる。
2013年11月14日号の Nature ハイライト
物理学:フォノニクス時代に備えよう
細胞:in vivoで上皮細胞が基底幹細胞へ戻る
医学:HIV治療でのモノクローナル抗体の有効性
生化学:スプライソソームの中のRNA/金属触媒
物理学:磁気モーメントの緩和時間を延ばす
材料:ナノ粒子をつなぎ合わせて複雑な集合体を作る
地球:白亜紀海洋の原始海水
古生物学:初期の昆虫群の多様性
神経科学:昆虫の脳で行われている視覚認識
免疫学:クローン病での炎症