Nature ハイライト
医学:抗マラリア薬の多機能標的
Nature 504, 7479
マラリアを完全に根絶するには、マラリア原虫の生活環の全段階、つまり症状の出る血中期感染だけでなく、それに先立つ肝内期感染も含めて再発防止のために治療した上で、蚊への伝播も阻止しなくてはならない。E Winzelerたちは、ホスファチジルイノシトール 4-OHキナーゼ(PI(4)K)が、プラスモジウム(Plasmodium)の生活環の全段階で脂肪酸代謝に不可欠で、そのために薬剤標的候補となることを示している。イミダゾピラジンをコアとする一群の化合物が、従来の抗マラリア薬とは違ってPI(4)Kを阻害し、複数種のプラスモジウムで生活環の各段階での成長を阻害することが分かった。また今回の解析によって、イミダゾピラジン類がPI(4)KのATP結合ポケットと相互作用し、ホスファチジルイノシトール 4-リン酸の細胞内分布を変化させ、細胞分裂を阻害することが明らかになった。
2013年12月12日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の磁性
神経科学:シナプスのエンドサイトーシスを素早く捉える
医学:抗マラリア薬の多機能標的
構造生物学:GABAB受容体の静止型と活性型の構造
量子情報科学:量子通信の新しいモデル
惑星科学:「暴走温室効果」が起こるのはもっと先のようだ
神経科学:経験で神経可塑性が変化する仕組み
がん:オートファジーの役割はp53に依存する
構造生物学:CAAXプロテアーゼの構造
細胞生物学:一次繊毛でのカルシウムの扱われ方