Nature ハイライト
神経科学:経験で神経可塑性が変化する仕組み
Nature 504, 7479
脳が学習し記憶を保持する能力は、可塑性、つまり神経回路やシナプスが行動や環境などの入力に反応して変化する能力と関連している。幼若期の臨界期に現れる可塑性は、パルブアルブミン(PV)を発現する介在ニューロン(PV+細胞)の成熟とすでに関連付けられているが、その作動機構についてはほとんど分かっていない。今回P Caroniたちは、成体マウスの介在ニューロンにはPV発現レベルと関連した異なるネットワーク状態があることを見いだした。環境エンリッチメントによって低PV発現細胞の割合が増えたのに対し、恐怖条件付けでは高PV発現細胞の増加が起こった。それぞれの状態は、ネットワークに影響を及ぼす異なった生理的特性を示すように細胞を特徴付ける。これらの細胞を人為的に活性化あるいは抑制するだけで、ネットワーク状態とその根底にある構造的な可塑性を変化させるのに十分だった。これらの結果は、PV+細胞群の構成と状態に依存する学習関連可塑性機構の存在を示唆しており、これは認知機能の強化や神経防護作用を促すための治療戦略に活用できるかもしれない。
2013年12月12日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の磁性
神経科学:シナプスのエンドサイトーシスを素早く捉える
医学:抗マラリア薬の多機能標的
構造生物学:GABAB受容体の静止型と活性型の構造
量子情報科学:量子通信の新しいモデル
惑星科学:「暴走温室効果」が起こるのはもっと先のようだ
神経科学:経験で神経可塑性が変化する仕組み
がん:オートファジーの役割はp53に依存する
構造生物学:CAAXプロテアーゼの構造
細胞生物学:一次繊毛でのカルシウムの扱われ方