Nature ハイライト
がん:オートファジーの役割はp53に依存する
Nature 504, 7479
オートファジーは、細胞内の壊れたり不要になったりした成分を分解する機構だが、これが腫瘍形成を促進するのか、それとも抑制するのかは長らく議論の的となっている。最近の証拠からは、状況次第でどちらも正しい可能性が示唆されている。今回K Ryanたちは、Kras変異誘発性の膵臓がんのマウスモデルでオートファジーを抑制した場合の転帰が、p53の状態に依存することを示した。p53が無傷状態であれば、主要なオートファジー遺伝子群が欠失しても、低悪性度の腫瘍から高悪性度のがんへのプログレッションは阻止される。しかし、p53が存在しない状態でオートファジーが起こらないと、腫瘍形成が加速し、それに伴ってがん細胞の代謝は脱調節状態になる。この研究は、がんの治療でオートファジーを標的にするという考え方に対して重要な意味を持つ。
2013年12月12日号の Nature ハイライト
材料科学:液体の磁性
神経科学:シナプスのエンドサイトーシスを素早く捉える
医学:抗マラリア薬の多機能標的
構造生物学:GABAB受容体の静止型と活性型の構造
量子情報科学:量子通信の新しいモデル
惑星科学:「暴走温室効果」が起こるのはもっと先のようだ
神経科学:経験で神経可塑性が変化する仕組み
がん:オートファジーの役割はp53に依存する
構造生物学:CAAXプロテアーゼの構造
細胞生物学:一次繊毛でのカルシウムの扱われ方