Nature ハイライト
神経科学:アストロサイトはシナプスの除去に関与する
Nature 504, 7480
シナプスの除去は脳発生の重要な特徴の1つであり、これによって神経活動に依存する形でシナプス接合の数が減少する。グリア細胞は脳で多様な役割を果たす非神経性の細胞だが、シナプス再構築への関与も近年明らかになっている。グリア細胞の一種である貪食性ミクログリアが神経接続の精緻化に一定の役割を担うことは分かっているが、除去の基盤となる機構については、これ以外のことはほとんど分かっていない。今回W Chungたちは、同じくグリア細胞のアストロサイトが広範囲にわたるシナプスの貪食を行い、神経活動に応じてシナプスの除去を調節することを報告している。この除去にはMEGF10とMERTKのファゴサイトーシス経路が関与し、これらの経路を欠くアストロサイトを持つトランスジェニック動物では、発生期に網膜と膝状体の接続を精緻化できない。また、こうした機構は成体期になっても働く。この研究は、学習や記憶だけでなく、神経疾患の過程の解明にも関係してくる。
2013年12月19日号の Nature ハイライト
がん:薬剤応答についての基準を決めるべき時が来た
神経科学:アストロサイトはシナプスの除去に関与する
植物科学:ストリゴラクトンの受容体が見つかった
宇宙:磁気嵐の局所機構
量子情報科学:もつれた量子状態の散逸を利用する
古気候学:寒冷化した気候が山を動かす
神経科学:自閉症で見られる早期のアイコンタクト消失
免疫:細菌が産生する酪酸は免疫のバランスに影響する
エピジェネティクス:Tet1はゲノムインプリンティングを消去する