Nature ハイライト
量子情報科学:もつれた量子状態の散逸を利用する
Nature 504, 7480
量子もつれ状態は、基礎的な量子物理学、量子暗号、量子計算の重要なリソースである。このような状態を生成するには、散逸環境との接触を避け、デコヒーレンスを最小にすることが必要であると一般に考えられてきた。しかし、いくつかの研究では、散逸相互作用を使ってコヒーレンスを維持できることが示されている。今回、2つのグループが、連続的に駆動される物理系についてこの原理を実証した。Y Linたちは、人工的な散逸を使って2個の捕獲イオンキュービットの量子もつれを、初期状態とは関係なく、決定論的に生成し安定化した。S Shankarたちは、自律的なフィードバック方式を使ってデコヒーレンスに対抗し、2個の超伝導キュービットの量子レジスターのもつれたベル状態が任意の時間安定化されることを実証した。この方法をさまざまな実験系へ適用すれば、望みどおりの量子ダイナミクスや定常状態を実現できる可能性がある。
2013年12月19日号の Nature ハイライト
がん:薬剤応答についての基準を決めるべき時が来た
神経科学:アストロサイトはシナプスの除去に関与する
植物科学:ストリゴラクトンの受容体が見つかった
宇宙:磁気嵐の局所機構
量子情報科学:もつれた量子状態の散逸を利用する
古気候学:寒冷化した気候が山を動かす
神経科学:自閉症で見られる早期のアイコンタクト消失
免疫:細菌が産生する酪酸は免疫のバランスに影響する
エピジェネティクス:Tet1はゲノムインプリンティングを消去する