Nature ハイライト
微生物学:海洋微生物の化学的多様性
Nature 506, 7486
細菌由来の薬剤や薬剤候補物質は、ほとんど全てが、豊かな代謝産物を持つ少数の細菌分類群が作り出したものである。そのため、培養不可能もしくは未培養の大多数の微生物は、資源としてはほとんど利用されないままになっている。今回J Pielたちは、単一細胞解析とメタゲノム解析を使って、「天然工場」となる可能性のある2種類の細菌系統を同定した。この2つは共に、暫定的な分類群であるEntotheonella属に属し、化学物質の豊富な海生海綿の一種であるTheonella swinhoeiに共生している。重要なのは、これら2種類の細菌系統のゲノムにはそれぞれ特有の生合成遺伝子クラスターが多数存在し、これまでは宿主である海綿が生産していると考えられていた生理活性ポリケチド類やペプチド類の大半が、一方の細菌系統に由来すると分かったことである。この発見によって、新たに提案されたTectomicrobia門のメンバーであるEntotheonella属などの細菌が、放線菌類と同レベルの「生化学的に有能な」分類群であることが明らかになった。
2014年2月6日号の Nature ハイライト
古生態学:ケナガマンモスが歩き回っていた場所
がん:がん免疫療法の新たな標的
微生物学:海洋微生物の化学的多様性
素粒子物理学:パリティを破る非対称性を再検証する
量子物理学:多原子時計の基準を高める
生態:植物の敵が生物多様性を高める
心理学:ピア・レビューに対するピア・プレッシャー
構造生物学:タンパク質透過チャネルの構造
分子生物学:アプラタキシンのゲノム保護作用