Nature ハイライト
心理学:ピア・レビューに対するピア・プレッシャー
Nature 506, 7486
科学は、意見が発表され、その後、その意見に支持または批判が加えられることを通じて発展する。それは通常、ピア・レビュー(同業者による査読)という形をとる。M Munafòたちは、関与した研究者がもっぱら知識の進歩のみを目指した場合と他の外的要因が意思決定に影響を及ぼした場合に、ピア・レビュー過程がどのように行われるかについてモデルを用いて調べた。つまり、決定が客観的に行われた場合と主観的に行われた場合を比較したのである。その結果、科学者の行動は、同業者の行動から集められた情報によって影響を受ける可能性があり、場合によってはそれに支配されることすらあることが分かった。例えば、論文を投稿するかどうかの判断は、それまでにどんな論文が発表されたかで決まり、それは著者の個人的な考え方とは関係がない。「群れ行動」と呼ばれるこうした現象は、場合によっては正しくない答えに収束してしまうという固有の危険をはらんでいる。一方で、逆説的ではあるが、査読者の判断におけるある程度の主観性は、入手できる情報を検討して真実性をより正確に評価する上では有益となることもある。
2014年2月6日号の Nature ハイライト
古生態学:ケナガマンモスが歩き回っていた場所
がん:がん免疫療法の新たな標的
微生物学:海洋微生物の化学的多様性
素粒子物理学:パリティを破る非対称性を再検証する
量子物理学:多原子時計の基準を高める
生態:植物の敵が生物多様性を高める
心理学:ピア・レビューに対するピア・プレッシャー
構造生物学:タンパク質透過チャネルの構造
分子生物学:アプラタキシンのゲノム保護作用