Nature ハイライト
量子物理学:多原子時計の基準を高める
Nature 506, 7486
SI単位系の定義や物理法則の検証のためであろうと、いまだ実現されていない応用のためであろうと、原子時計の安定性と正確度の向上は、常に望まれている。多原子格子時計は単一イオントラップ時計よりも優れた精度を達成したが、正確度はこれまで比較的劣っていた。今回、米国立標準技術研究所(NIST)の研究によって、単一イオン時計よりも優れた正確度を実現する多原子時計が実証されると同時に、必要な測定時間を2桁短くすることができた。この新しい「光格子」時計は、レーザービームに捕捉された数千個の中性ストロンチウム原子を用いるものであり、安定性、再現性、正確度を併せ持つため、一次標準として検討すべき第一の候補となる。この時計は、約50億年たっても1秒も進まないし遅れもしない。もっとも、そのときまで、地球は存続しそうにないが。
2014年2月6日号の Nature ハイライト
古生態学:ケナガマンモスが歩き回っていた場所
がん:がん免疫療法の新たな標的
微生物学:海洋微生物の化学的多様性
素粒子物理学:パリティを破る非対称性を再検証する
量子物理学:多原子時計の基準を高める
生態:植物の敵が生物多様性を高める
心理学:ピア・レビューに対するピア・プレッシャー
構造生物学:タンパク質透過チャネルの構造
分子生物学:アプラタキシンのゲノム保護作用