Nature ハイライト
物理:ジョセフソン接合における準粒子散逸
Nature 508, 7496
ジョセフソン接合は、弱結合によって連結された2つの超伝導体からなり、高感度の磁場検出器、高速処理ネットワークや量子情報ネットワークなどの量子エレクトロニクスへの応用に中心的な役割を果たしている。しかし、ジョセフソン効果に関する基本的な予測の1つはまだ確かめられていない。ジョセフソン接合を通って流れる電流は超伝導クーパー対に加えて、準粒子と呼ばれる励起からなり、準粒子はいくつかの異なる方法で寄与することが知られている。そうした寄与の1つから散逸が生じるが、これは理論的には超伝導体間の位相差の調整によって抑制できる。I Popたちは、このことを実験により実現して、ジョセフソン接合からなるキュービットを作製した。このキュービットのエネルギー緩和時間は、準粒子散逸が抑制されるため、ほぼ2桁も長くなった。この知見によって、50年以上前に予測された基本的な量子現象の存在が確かめられた。
2014年4月17日号の Nature ハイライト
有機化学:エナンチオ選択的第四級立体中心の合成
遺伝学:ダウン症候群の遺伝学的全体像
神経科学:精密な運動を制御する脳幹の回路
地球化学:火星の硫黄化学
物理:ジョセフソン接合における準粒子散逸
材料:SnSe結晶の優れた熱電性能
気候科学:湿潤気候と乾燥気候の南北でのシーソー状態は中緯度域でも見られる
システム生物学:ノイズに耐える人工生物回路
細胞生物学:細胞でのミトコンドリア保護対策