Nature ハイライト

物理:ジョセフソン接合における準粒子散逸

Nature 508, 7496

ジョセフソン接合は、弱結合によって連結された2つの超伝導体からなり、高感度の磁場検出器、高速処理ネットワークや量子情報ネットワークなどの量子エレクトロニクスへの応用に中心的な役割を果たしている。しかし、ジョセフソン効果に関する基本的な予測の1つはまだ確かめられていない。ジョセフソン接合を通って流れる電流は超伝導クーパー対に加えて、準粒子と呼ばれる励起からなり、準粒子はいくつかの異なる方法で寄与することが知られている。そうした寄与の1つから散逸が生じるが、これは理論的には超伝導体間の位相差の調整によって抑制できる。I Popたちは、このことを実験により実現して、ジョセフソン接合からなるキュービットを作製した。このキュービットのエネルギー緩和時間は、準粒子散逸が抑制されるため、ほぼ2桁も長くなった。この知見によって、50年以上前に予測された基本的な量子現象の存在が確かめられた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度