Nature ハイライト
遺伝学:ダウン症候群の遺伝学的全体像
Nature 508, 7496
ダウン症候群は遺伝子発現の乱れによって起こると考えられており、従って、その表現型の根底にある分子機構を理解するには、ダウン症候群に典型的な第21染色体の完全あるいは部分的なトリソミー(21トリソミーと呼ばれる)を持つ細胞や組織におけるトランスクリプトームの差異を解明する必要がある。今回、21トリソミーに関して不一致である一卵性双生児の胎児細胞のトランスクリプトームが解析され、この双生児間で差異のある遺伝子発現は、全染色体にわたってドメインの形で存在していることが明らかになった。これらの遺伝子発現調節異常ドメインは、ダウン症候群のマウスモデルで保存されており、ラミナ関連ドメイン(LAD)や複製ドメインと相関している。ゲノム全体のトポロジーはトリソミー細胞でも変化していないが、著者たちは、トランスクリプトーム全体に影響を及ぼすようなクロマチン環境の変化を報告し、今回明らかになった調節異常ドメインがダウン症候群のいくつかの表現型に関与している可能性を示唆している。
2014年4月17日号の Nature ハイライト
有機化学:エナンチオ選択的第四級立体中心の合成
遺伝学:ダウン症候群の遺伝学的全体像
神経科学:精密な運動を制御する脳幹の回路
地球化学:火星の硫黄化学
物理:ジョセフソン接合における準粒子散逸
材料:SnSe結晶の優れた熱電性能
気候科学:湿潤気候と乾燥気候の南北でのシーソー状態は中緯度域でも見られる
システム生物学:ノイズに耐える人工生物回路
細胞生物学:細胞でのミトコンドリア保護対策