Nature ハイライト

材料:すごく硬くて安定なナノ双晶ダイヤモンド

Nature 510, 7504

ダイヤモンドは最も硬い材料を切削整形する工具として使用されるが、そのダイヤモンドにも限界がある。このため材料科学の分野では、天然ダイヤモンドよりも硬く、なるべく熱的安定性の高い材料の合成が追求されてきた。天然ダイヤモンドは空気中では約800°Cで酸化し始め、これが高温での重摩耗の原因となる。ダイヤモンドの粒子サイズを小さくすることによって硬度を高める試みが成功しているが、その代わり熱的安定性は大きく低下した。今回Y Tianたちは、硬度が極めて高い上に、熱的安定性が大幅に向上し、酸化温度が1000°Cを超えるダイヤモンドの合成について報告している。このダイヤモンド材料は、前駆体としてタマネギ状のカーボンナノ粒子を用いて合成され、微小粒子ではなく「双晶」結晶、つまり対称関係にある結晶格子のドメインからなるナノスケールの構造にしたことで、硬度が向上している。今回の結果は、同様の手法によるナノ双晶立方晶窒化ホウ素の成功に続くものであり、この手法が、並外れた特性を示す新しいカーボン系先端材料を創製する一般的な方法であることを示唆している。

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