Nature ハイライト
分子生物学:リボソームフレームシフトによる免疫応答の微調整
Nature 512, 7514
今回、ヒトCCR5 mRNAで伸長中のリボソームを未成熟終止コドンへと移動させる、プログラムされたマイナス1リボソームフレームシフト(−1 PRF)シグナルが明らかにされ、このシグナルが、ナンセンス変異介在mRNA分解経路により、CCR5 mRNAを不安定化する可能性が示唆された。PRFとは、mRNAに存在する1つのシグナルにより、翻訳中のリボゾームが1ヌクレオチド分ずれてリーディングフレームが変化する現象で、ウイルスでは広く研究されているものの、哺乳類細胞で機能する仕組みはほとんど分かっていなかった。今回の実験では、CCR5が介在する−1 PRFは、2個のマイクロRNAによって促進され、そのうちの1つは−1 PRFシグナルに直接結合してシグナル構造の再編成を引き起こす。他のサイトカイン受容体でもmiRNA調節性−1 PRFの可能性が示されている。これらの知見は、哺乳類細胞で免疫応答を微調整する新しい機構の存在を実証している。
2014年8月21日号の Nature ハイライト
分子生物学:リボソームフレームシフトによる免疫応答の微調整
構造生物学:GABAA受容体の構造
構造生物学:セロトニン5-HT3受容体の構造
物理:二原子分子を三次元的に閉じ込める
地球:2014年イキケ地震の検証
古人類学:ネアンデルタール人の緩やかな排除
生物地球化学:ウィランズ氷底湖に生息する豊富な微生物
細胞:胚の造血幹細胞