Nature ハイライト
生物地球化学:ウィランズ氷底湖に生息する豊富な微生物
Nature 512, 7514
南極の氷底湖に微生物が存在するかどうかについては論争が続いてきたが、それは、掘削の際に微生物の混入が起こった可能性があることが判明して、初期の調査結果の信憑性が失われたためである。衛星データを使って発見されてから10年足らずのウィランズ氷底湖は、西南極のウィランズ氷流(WIS)の下部、深さ約800 mの所にあり、発展しつつある大規模な氷河下排水網の一部となっている。南極の氷河下の水を直接採取する初めての調査で、WISSARD掘削計画によって得られた堆積物の解析が行われ、ウィランズ氷底湖の水には合わせて3,900種類以上の細菌と古細菌が含まれていることが明らかになった。そのうちの1つは、ベータプロテオバクテリア綱の亜硝酸酸化細菌「Candidatus Nitrotoga arctica」によく似ており、塩基配列データの13%を占めている。湖水には代謝を行っている多様な微生物が含まれており、その多くは融解した氷や氷の下の岩石や堆積物から栄養素を得ているらしい。
2014年8月21日号の Nature ハイライト
分子生物学:リボソームフレームシフトによる免疫応答の微調整
構造生物学:GABAA受容体の構造
構造生物学:セロトニン5-HT3受容体の構造
物理:二原子分子を三次元的に閉じ込める
地球:2014年イキケ地震の検証
古人類学:ネアンデルタール人の緩やかな排除
生物地球化学:ウィランズ氷底湖に生息する豊富な微生物
細胞:胚の造血幹細胞