Nature ハイライト
古人類学:ネアンデルタール人の緩やかな排除
Nature 512, 7514
解剖学的現生人類はネアンデルタール人と共存していたのだろうか。この疑問を解こうとする試みは、従来の放射性炭素年代測定法が問題となる共存時期の辺りでちょうど測定限界に達するために、困難になっている。試料の年代が5万年前に近づくと炭素14の残存量がほとんどなくなり、正確な測定結果が得にくくなるのである。T Highamたちは今回、試料の処理法および加速器質量分析による放射性炭素年代測定法を改良し、スペインからロシアまでの範囲にある遺跡40か所のムステリアン石器文化(ネアンデルタール人の存在を示すと考えられている)の最後の出現に基づいて確実な年表を構築した。その結果、ネアンデルタール人の消滅時期は地域によって異なるが、流入した現生人類とは約2600~5400年の長期にわたって共存していたことが示された。この研究は、急速な排除のモデルとは異なるモデル、つまりネアンデルタール人と現生人類の間に数千年間にわたって文化的および生物学的な交流があった可能性を示す複雑な全体像を示唆している。
2014年8月21日号の Nature ハイライト
分子生物学:リボソームフレームシフトによる免疫応答の微調整
構造生物学:GABAA受容体の構造
構造生物学:セロトニン5-HT3受容体の構造
物理:二原子分子を三次元的に閉じ込める
地球:2014年イキケ地震の検証
古人類学:ネアンデルタール人の緩やかな排除
生物地球化学:ウィランズ氷底湖に生息する豊富な微生物
細胞:胚の造血幹細胞