Nature ハイライト
ゲノミクス:ショウジョウバエトランスクリプトームの複雑さ
Nature 512, 7515
一個体の動物の全ての細胞は同じ遺伝子を持つが、転写産物一式、つまりトランスクリプトームには、細胞ごと、組織ごとに非常に大きな違いが見られる。トランスクリプトームのこうした多様性の実態を明らかにするために、modENCODEコンソーシアムはキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のさまざまな培養細胞株と解剖した器官系を使って、この変動について調べた。例えば、ほぼ神経特異的な少数の遺伝子群はそれぞれ広範囲にわたる選択的なプロモーターの使用やRNAスプライシングを介して、数千のメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物をコードする能力を持っていた。また、生殖巣はこれまで知られていなかった数百のコードRNAと長鎖非コードRNA(lncRNA)を発現しており、その中にはタンパク質をコードする遺伝子に対するアンチセンス鎖や、短鎖調節RNAを産生するものもあった。ショウジョウバエのトランスクリプトームは明らかに、これまで考えられていたよりもずっと複雑である。
2014年8月28日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ついに捉えられた太陽のppニュートリノ
免疫:芳香族炭化水素受容体は抗菌にも関わっている
ゲノミクス:ショウジョウバエトランスクリプトームの複雑さ
ゲノミクス:線虫ゲノムの転写因子マップ
宇宙:古典的な白色矮星爆発である超新星2014J
量子物理学:ファントム光子写真
有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に
ゲノミクス:系統的に離れた生物種のトランスクリプトーム比較解析
ゲノミクス:ヒトからショウジョウバエや線虫にわたって広く保存されている遺伝子群
ゲノミクス:遺伝子調節回路の比較マッピング