Nature ハイライト

量子物理学:ファントム光子写真

Nature 512, 7515

物体(猫型のボール紙の切り抜き)と相互作用しない光子のみによって形成された画像。物体の形状は量子力学のパラドックス「シュレーディンガーの猫」にちなんでいる。
物体(猫型のボール紙の切り抜き)と相互作用しない光子のみによって形成された画像。物体の形状は量子力学のパラドックス「シュレーディンガーの猫」にちなんでいる。 | 拡大する

Credit: Gabriela Barreto Lemos

新しい量子イメージング実験によって、測定されていない光によって作られる画像という一見不可能と思えることが実証された。この実験には、識別不可能な光子対の生成が関与している。光子対の片方は、それが物体を照らす経路をたどるが、検出されないままになる。もう1つの光子は、この物体とは全く相互作用せず、集められる。意外なことに、この光子を用いれば、物体の画像を形成できる。この現象は、識別不可能な光子は、干渉はするが、2つの光子を識別できる情報が得られる可能性だけで干渉が抑制されるという量子原理の所産である。干渉縞の存在を使って、画像が形成される。今回の観測結果は、基礎物理学の魅力的な側面を実証するとともに、物体を照らす光の波長とは異なる波長領域の検出器の利用を可能にするため、幅広い撮像用途で実用上重要なものとなりそうだ。

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