Nature ハイライト
量子物理学:ファントム光子写真
Nature 512, 7515
新しい量子イメージング実験によって、測定されていない光によって作られる画像という一見不可能と思えることが実証された。この実験には、識別不可能な光子対の生成が関与している。光子対の片方は、それが物体を照らす経路をたどるが、検出されないままになる。もう1つの光子は、この物体とは全く相互作用せず、集められる。意外なことに、この光子を用いれば、物体の画像を形成できる。この現象は、識別不可能な光子は、干渉はするが、2つの光子を識別できる情報が得られる可能性だけで干渉が抑制されるという量子原理の所産である。干渉縞の存在を使って、画像が形成される。今回の観測結果は、基礎物理学の魅力的な側面を実証するとともに、物体を照らす光の波長とは異なる波長領域の検出器の利用を可能にするため、幅広い撮像用途で実用上重要なものとなりそうだ。
2014年8月28日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ついに捉えられた太陽のppニュートリノ
免疫:芳香族炭化水素受容体は抗菌にも関わっている
ゲノミクス:ショウジョウバエトランスクリプトームの複雑さ
ゲノミクス:線虫ゲノムの転写因子マップ
宇宙:古典的な白色矮星爆発である超新星2014J
量子物理学:ファントム光子写真
有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に
ゲノミクス:系統的に離れた生物種のトランスクリプトーム比較解析
ゲノミクス:ヒトからショウジョウバエや線虫にわたって広く保存されている遺伝子群
ゲノミクス:遺伝子調節回路の比較マッピング