Nature ハイライト
ゲノミクス:遺伝子調節回路の比較マッピング
Nature 512, 7515
ショウジョウバエと線虫は、ヒトの生物学的研究の主要モデルとして長らく調べられてきた。遺伝子調節の進化的保存に関しては、これまで主に個々のDNAエレメントや因子に注目した研究が行われてきた。modENCODEコンソーシアムは、転写調節特性の基本原理の大規模な比較解析を行うことを目的としている。そして今回、ヒトで165個、線虫で93個、ショウジョウバエで52個の転写調節因子の結合部位について、さまざまな細胞種、発生段階および条件下でゲノム規模でのマッピングが行われた。総合的に見ると、個々の因子でこれまで観察されていた遺伝子調節特性が後生動物における遺伝子調節の一般的な原理であり、このような原理は、個々の調節ネットワーク接続の機能的分岐が大きいにもかかわらず極めてよく保存されていることが明らかになった。この遺伝子調節回路の比較マップは、モデル生物の生物学的特性の調節基盤がどのようにヒトの生物学的特性、発生および疾病と関連するのかを解明する助けとなるだろう。
2014年8月28日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ついに捉えられた太陽のppニュートリノ
免疫:芳香族炭化水素受容体は抗菌にも関わっている
ゲノミクス:ショウジョウバエトランスクリプトームの複雑さ
ゲノミクス:線虫ゲノムの転写因子マップ
宇宙:古典的な白色矮星爆発である超新星2014J
量子物理学:ファントム光子写真
有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に
ゲノミクス:系統的に離れた生物種のトランスクリプトーム比較解析
ゲノミクス:ヒトからショウジョウバエや線虫にわたって広く保存されている遺伝子群
ゲノミクス:遺伝子調節回路の比較マッピング