Nature ハイライト
有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に
Nature 512, 7515
遷移金属による炭素–炭素結合の切断は、化学合成、石油化学や生物系における主要な反応である。合成化学の分野では、遷移金属を使ったベンゼンの切断はこれまでできなかったが、今回Z Houたちが、三核チタンポリヒドリド錯体という性質がよく分かっている分子系による、ベンゼンの炭素–炭素結合の切断と骨格変換の初めての実例を報告している。この反応では、ベンゼン環は、複数のチタン活性部位での芳香族炭素骨格の切断を経て、メチルシクロペンテニル種、2-メチルペンテニル種に順次変換される。今回の結果は、多核チタンヒドリドが芳香族分子を活性化させるプラットフォームとして使用でき、これによって不活性芳香族化合物を変換する新しい触媒の設計が容易になる可能性を示唆している。
2014年8月28日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:ついに捉えられた太陽のppニュートリノ
免疫:芳香族炭化水素受容体は抗菌にも関わっている
ゲノミクス:ショウジョウバエトランスクリプトームの複雑さ
ゲノミクス:線虫ゲノムの転写因子マップ
宇宙:古典的な白色矮星爆発である超新星2014J
量子物理学:ファントム光子写真
有機化学:ベンゼンのC–C結合切断を容易に
ゲノミクス:系統的に離れた生物種のトランスクリプトーム比較解析
ゲノミクス:ヒトからショウジョウバエや線虫にわたって広く保存されている遺伝子群
ゲノミクス:遺伝子調節回路の比較マッピング