Nature ハイライト
ゲノム進化:シクリッドのゲノムに見られる適応放散のしるし
Nature 513, 7518
アフリカ大地溝帯の湖沼や河川に生息する約2000種のシクリッド類は、適応放散の典型例とされる魚類である。今回、大規模な国際共同研究で、アフリカンシクリッドの5系統に関してゲノムとトランスクリプトームの塩基配列解読および解析が行われた。そのデータから、他の魚類種と比較して遺伝子重複が極めて多いことが明らかになった。また、多くの非コードエレメントの多様化やコード配列の加速進化、オルソロガス遺伝子対への転移因子の挿入に伴う発現の多様化に加えて、新規マイクロRNAによる調節も認められた。ビクトリア湖に生息する近縁な6種の計60個体から得た配列解読データは、シクリッドの急速な種分化に、コードおよび調節変異領域にかかるゲノム規模の多様化選択が関連していることを示している。さらに、古代に数回あった純化選択の緩和の時期に、集団中に多型状態で存在していた変異(standing variation)が蓄積され、それらが多様化の促進に重要であった可能性も示唆された。
2014年9月18日号の Nature ハイライト
化学:有機ホウ素化合物の新しい合成法
ゲノム進化:シクリッドのゲノムに見られる適応放散のしるし
がん:大腸がんのプロテオミクス/ゲノミクス
細胞生物学:ヒト分裂後期促進複合体の構造
宇宙:小さい銀河にもあった超大質量ブラックホール
地球:拡大する大陸がプレートテクトニクスの呼び水となった
動物行動学:チンパンジーは生まれつき攻撃的である
実験進化学:抗生物質耐性のカギとなる遅滞期
発生学:細胞系譜樹
神経科学:恐怖と報酬間の記憶の切り替え