Nature ハイライト
宇宙:小さい銀河にもあった超大質量ブラックホール
Nature 513, 7518
天体M60-UCD1は、現在知られている最も明るい超コンパクト矮小銀河(UCD)であり、その質量は太陽ほぼ2億個に相当し、最も重いものの1つである。A Sethたちは、補償光学によるスペクトルを用いて、M60-UCD1の運動を解像し、その中心部に2100万太陽質量の超大質量ブラックホールが存在することを見いだした。つまり、M60-UCD1は、超大質量ブラックホールを持つことが分かった最も低質量の系ということになる。この系はかつて、もっと大きな銀河の中心にあったが、後にその銀河が大質量の近傍銀河の潮汐力によって引き裂かれたのではないかと著者たちは考えている。今回の解析は、M60-UCD1の恒星質量がその光度と矛盾しないことも示しており、他の多くの超コンパクト矮小銀河にも、これまで知られていなかった超大質量ブラックホールが存在する可能性を示唆している。
2014年9月18日号の Nature ハイライト
化学:有機ホウ素化合物の新しい合成法
ゲノム進化:シクリッドのゲノムに見られる適応放散のしるし
がん:大腸がんのプロテオミクス/ゲノミクス
細胞生物学:ヒト分裂後期促進複合体の構造
宇宙:小さい銀河にもあった超大質量ブラックホール
地球:拡大する大陸がプレートテクトニクスの呼び水となった
動物行動学:チンパンジーは生まれつき攻撃的である
実験進化学:抗生物質耐性のカギとなる遅滞期
発生学:細胞系譜樹
神経科学:恐怖と報酬間の記憶の切り替え