Nature ハイライト
顕微鏡学:電子顕微鏡内で振動分光
Nature 514, 7521
赤外分光法やラマン分光法のような、材料や化合物の振動挙動を敏感に検出する分光法は、化学的特性や物理的特性に関する知見を得るために広く使われている。こうした振動励起は、原理的には電子エネルギー損失分光法(EELS)によっても検出できる。しかし、その効果は比較的弱く、これまで電子顕微鏡法では、そうした信号の抽出に必要なエネルギー分解能が得られなかった。今回O Krivanekたちは、電子顕微鏡法の最近の進展によって、走査型透過電子顕微鏡内で高分解能の振動分光測定が実施できるようになったことを実証している。著者たちは、無機材料や有機材料への応用例を提示し、水素を直接検出できることを示している。この機能は、水素貯蔵材料や生物組織などの多様な系の分析に大いに役立つ可能性がある。
2014年10月9日号の Nature ハイライト
微生物学:人工甘味料の有害な影響
免疫:自然免疫ではカスパーゼがセンサーの役割を果たす
構造生物学:RNAのラリアット構造を解く
宇宙:超高輝度X線源を動かしているものは何か
物性:WTe2の巨大な磁気抵抗
顕微鏡学:電子顕微鏡内で振動分光
大気化学:中国の大気中の煙霧の原因は何か?
がん:CHARGE症候群は活性化したp53により促進される
構造生物学:Dis3l2の構造の解明