Nature ハイライト
細胞生物学:エンドサイトーシスと細胞のシグナル伝達
Nature 517, 7535
細胞は、エンドサイトーシス過程により栄養を細胞内に取り込み、膜の構成要素の入れ替えを行っている。エンドサイトーシスには、クラスリンタンパク質が関与している場合が多く、エンドフィリンはクラスリンが介在するエンドサイトーシスの構成要素であると考えられてきた。だが今回、エンドフィリンは迅速に起こるクラスリン非依存性のエンドサイトーシス経路を仲介していて、この経路は細管小胞(tubular vesicle)の形成に関わっていることを、2つの研究グループが明らかにした。E Boucrotたちは、この経路が積み荷受容体へのリガンドの結合によって活性化され、タンパク質であるダイナミンとアクチンを必要とすることを報告している。また、エンドフィリンが介在するエンドサイトーシス経路は細胞の先端部で起こっていて、細胞の特別な部位に存在するらしく、そこでは脂質であるホスファチジルイノシトール 3,4-ビスリン酸がエンドフィリンの確保に関わっている。この型のエンドサイトーシスは、Gタンパク質共役受容体や受容体型チロシンキナーゼなどの生理や疾患に関わる複数の受容体の取り込みに関わっていることが分かった。一方、H Renardたちは、細菌毒素がこの経路を利用して細胞内に入ることを立証し、エンドフィリンA2がダイナミンおよびアクチンと協働していることも明らかにしている。
2015年1月22日号の Nature ハイライト
有機化学:安定な金(III)系触媒
創薬:二重に作用する強力な抗生物質テイクソバクチン
細胞生物学:エンドサイトーシスと細胞のシグナル伝達
細胞生物学:Meikinタンパク質は染色体分配を調節する
フォトニクス:高性能ペロブスカイト太陽電池
気候科学:20世紀の海水準を再考する
古生物学:魚竜の祖先に当たる水陸両生爬虫類か?
がん:mTORCが腫瘍の成長を持続させる仕組み
構造生物学:未成熟HIV-1混成集団中で見られるキャプシド構造