Nature ハイライト

気候科学:20世紀の海水準を再考する

Nature 517, 7535

潮位計データから計算される海水準の上昇速度は、氷質量の減少、海洋の熱膨張、陸域の貯水量の変化を合計して得られるボトムアップ式の見積もりよりも大きくなる傾向がある。今回C Hayたちは、データの測定点が少なく、その地理的分布が不均一なことなどの不確実性によって偏りが生じる潮位計記録の統計的な再評価を行い、1901~1990年の海水準上昇は、1年当たりほぼ1.2 mmであると結論している。この数値は、以前の見積もりよりもりわずかに小さい程度で、ボトムアップ式の見積もりと一致している。しかし、1993~2010年に同じ解析法を適用すると、1年当たりほぼ3 mmという結果が得られた。この数値もまた、他の研究から得られた結果と一致しており、近年の海水準の上昇の加速度はこれまで考えられていたよりも大きいことが示唆された。

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