Nature ハイライト
神経科学:グリッド細胞の配置は環境を反映する
Nature 518, 7538
グリッド細胞と呼ばれる嗅内皮質のニューロンは、慣れた環境の表面全体に広げられた空間的格子状パターンの1つで発火し、脳に動物の周囲の環境の内的地図を提供している。このパターンの構築に、周囲環境の境界が果たす役割については、よく分かっていない。初期の研究では、グリッド細胞の発火パターンの諸性質、例えば対称性や方向、大きさなどは、環境の形状とは無関係とされてきた。しかし、今週号の2報の論文(1つはE Moserたち、1つはJ O'Keefeたちによる)で、グリッドの方向や大きさ、対称性や一様性は、環境の形状に強く影響されることが示された。グリッド細胞の受容野は、環境の周縁に対して、周縁との対称性を最小化するように数度ずれて配置される。これらの知見から、環境の形状がグリッド細胞の六角格子状発火パターンの局所的回転や変形を引き起こすことが示唆される。
2015年2月12日号の Nature ハイライト
超伝導:高Tc超伝導体研究を振り返る
遺伝学:体脂肪分布を心血管代謝形質と結び付ける
遺伝学:肥満の遺伝的要因
神経科学:グリッド細胞の配置は環境を反映する
天文学:星形成複合体のクローズアップ
気候科学:最終退氷期における海洋のCO2の減少
神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護
がん:PTEN欠失による抗がん耐性
発生生物学:組織の折りたたみに関わるアポトーシス
分子生物学:代替性のDNA修復にはPolθが関わっている