Nature ハイライト

分子生物学:代替性のDNA修復にはPolθが関わっている

Nature 518, 7538

非相同末端結合(NHEJ)による誤りがちな(error-prone)DNA修復経路は、誤りが起こらない(error-free)相同組換え経路が損なわれている際にその代替として使われ、また免疫系などの場合にも選択される。切断端が数塩基の相同性、つまりマイクロホモロジーを介して対合した後、NHEJにはDNA合成が必要となるが、これに関わるポリメラーゼがどれかは不明であった。今回、A Sfeirたち、およびA D'Andreaたちの2つの研究グループが、「誤りがちな」ポリメラーゼPolθをコードする哺乳類のPOLQ遺伝子がこの過程に関わっていることを明らかにしている。Sfeirたちは、テロメアの脱保護に際して、Polθはテロメアでの代替的な末端結合や、非テロメア配列での染色体転座を防ぐのに必要であることを示した。D'Andreaたちは、Polθのがん細胞での役割に注目し、相同組換えの起きない遺伝的状況ではPolθがなくなると合成致死が起こることを示している。この結果は治療法として使える可能性がある。

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