Nature ハイライト
神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護
Nature 518, 7538
冬眠中の哺乳類ではシナプス結合が失われていくが、こうした結合は温度が上がると再形成される。RBM3は低温に応答して脳で産生されるRNA結合性の低温ショックタンパク質(cold-shock protein)だが、シナプス可塑性に果たしている役割については分かっていなかった。今回G Mallucciたちは、神経変性疾患のマウスモデルで見られるシナプス再形成不全が、RBM3の誘導障害と関連していることを明らかにした。このようなモデルでは、RBM3を過剰発現させるとシナプス結合の再形成が回復するが、RBM3の機能を喪失させると再形成がさらに障害される。これらの知見は低温ショックタンパク質が内在性の修復過程の構成要因であり、神経変性疾患で神経保護を図る際の治療標的となる可能性を示している。
2015年2月12日号の Nature ハイライト
超伝導:高Tc超伝導体研究を振り返る
遺伝学:体脂肪分布を心血管代謝形質と結び付ける
遺伝学:肥満の遺伝的要因
神経科学:グリッド細胞の配置は環境を反映する
天文学:星形成複合体のクローズアップ
気候科学:最終退氷期における海洋のCO2の減少
神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護
がん:PTEN欠失による抗がん耐性
発生生物学:組織の折りたたみに関わるアポトーシス
分子生物学:代替性のDNA修復にはPolθが関わっている