Nature ハイライト

神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護

Nature 518, 7538

冬眠中の哺乳類ではシナプス結合が失われていくが、こうした結合は温度が上がると再形成される。RBM3は低温に応答して脳で産生されるRNA結合性の低温ショックタンパク質(cold-shock protein)だが、シナプス可塑性に果たしている役割については分かっていなかった。今回G Mallucciたちは、神経変性疾患のマウスモデルで見られるシナプス再形成不全が、RBM3の誘導障害と関連していることを明らかにした。このようなモデルでは、RBM3を過剰発現させるとシナプス結合の再形成が回復するが、RBM3の機能を喪失させると再形成がさらに障害される。これらの知見は低温ショックタンパク質が内在性の修復過程の構成要因であり、神経変性疾患で神経保護を図る際の治療標的となる可能性を示している。

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