Nature ハイライト
発生生物学:組織の折りたたみに関わるアポトーシス
Nature 518, 7538
動物の発生の際には、上皮組織は折りたたまれて高度に組織化された三次元構造になるが、この過程には細胞骨格と細胞間結合の細胞自律的な再編成が関与している。だが、どのようなシグナルが、適切な折りたたみに必要な細胞のリモデリングを引き起こし、それを調整するのだろうか。M Suzanneたちは以前に、アポトーシス細胞死のパターンの1つが、ショウジョウバエ成虫の発生中の脚における関節の形成に必要であることを報告している。今回、著者たちは同じモデルシステムを用い、これらのアポトーシス細胞内で頂端部から基底部に伸びた非常に動的なミオシンIIの「ケーブル」を介した一過的な牽引力が、組織の張力を上昇させる機械的シグナルとして作用することを示す。周囲の組織の表層部におけるミオシンIIの安定化とともに、これが近隣細胞の再編成を指示して、上皮が折りたたまれる。アポトーシス細胞が発生で能動的な役割を持つという知見は興味深い。
2015年2月12日号の Nature ハイライト
超伝導:高Tc超伝導体研究を振り返る
遺伝学:体脂肪分布を心血管代謝形質と結び付ける
遺伝学:肥満の遺伝的要因
神経科学:グリッド細胞の配置は環境を反映する
天文学:星形成複合体のクローズアップ
気候科学:最終退氷期における海洋のCO2の減少
神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護
がん:PTEN欠失による抗がん耐性
発生生物学:組織の折りたたみに関わるアポトーシス
分子生物学:代替性のDNA修復にはPolθが関わっている