Nature ハイライト
がん:PTEN欠失による抗がん耐性
Nature 518, 7538
薬剤耐性クローン亜集団の出現と拡大は、分子標的治療の分野における主要な難題である。今回、活性型PIK3CA変異を持つ転移性乳がんの1症例において、PI(3)Kα(phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase alpha subunit)選択的阻害剤BYL719による治療後のゲノム進化が調べられた。14か所の転移病変部の塩基配列解読を行って治療前の腫瘍と比較したところ、全ての転移病変部で、腫瘍抑制因子でホスファターゼであるPTENをコードする遺伝子が1コピー喪失していることが明らかになった。BYL719に対する耐性は、PTENのさらに別の遺伝学的変化に関連しており、これによってPTENを発現できなくなっていた。著者たちは、これらの知見とさらなる機能的特徴付けに基づき、PTENの異なるゲノム変化を持つ複数の別個の部位での遺伝的な平行進化が、PI(3)Kα阻害耐性を示す収斂的PTENヌル表現型を導くと結論している。
2015年2月12日号の Nature ハイライト
超伝導:高Tc超伝導体研究を振り返る
遺伝学:体脂肪分布を心血管代謝形質と結び付ける
遺伝学:肥満の遺伝的要因
神経科学:グリッド細胞の配置は環境を反映する
天文学:星形成複合体のクローズアップ
気候科学:最終退氷期における海洋のCO2の減少
神経科学:低温ショックタンパク質による神経保護
がん:PTEN欠失による抗がん耐性
発生生物学:組織の折りたたみに関わるアポトーシス
分子生物学:代替性のDNA修復にはPolθが関わっている