Nature ハイライト
Cover Story:生まれ変わったホモ・ハビリス:Homo habilisを代表するタイプ標本をデジタル技術でイメージチェンジ
Nature 519, 7541
表紙は、オルドバイ峡谷(タンザニア)出土のタイプ標本Olduvai Hominid 7(OH 7)の180万年前の骨に基づいて復元されたホモ・ハビリス(Homo habilis)の頭蓋である。透明な部分は、ケニア出土の頭蓋KNM-ER 1813に基づくもので、OH 7に合うように変形させている。ホモ・ハビリス(「器用な人」の意)と名付けられた種は、Nature 1964年4月4日号に最初の報告が掲載され、当時知られていたものの中で最古のヒト属種とされた。それ以後ずっと難問となっていたのは、他のどの化石が同じホモ・ハビリスに属するのかを明らかにすることだったが、OH 7の下顎がゆがんでいて本来の形状が分からなくなっていたためにこの作業は厄介なものとなっていた。今回、OH 7の下顎および頭蓋冠の骨について、コンピューター断層撮影法と3D画像化技術を用いて破損した部分を再編成するという最先端のバーチャル復元法が適用され、ホモ・ハビリスのタイプの見直しが行われた。その結果新たに浮かび上がったのは、「ルーシー」に代表されるアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)に似た原始的な形状の顎と初期のホモ・エレクトス(Homo erectus)に匹敵する大きさの脳を組み合わせた形の頭蓋だった。この新証拠は、ヒト属の多様な進化系統が200万年以上前にすでに存在していたことを示している。
2015年3月5日号の Nature ハイライト
神経科学:摂食に対するカンナビノイドの複雑な作用
神経科学:動く前の脳活動
医学:炎症の有益な作用
量子物理学:量子エラー訂正法に大きな進展
材料科学:生体系を模倣した液体ゲーティング機構
有機化学:アリル炭素–水素結合の直接アリール化
免疫学:ワクチン様の作用を持つHIV-1侵入阻害剤
炎症:食品に使われている乳化剤の有害な作用
生化学:天然変性タンパク質が担う調節機能
分子生物学:IRESはオールマイティ