Nature ハイライト
免疫学:ワクチン様の作用を持つHIV-1侵入阻害剤
Nature 519, 7541
新種の非常に強力なHIV-1侵入阻害剤が見つかった。eCD4-Igと呼ばれるこの物質は、遺伝子治療用のベクターを使って送達でき、従来型のHIV-1ワクチンに代わる非常に有効性の高い薬剤となると考えられる。HIV-1は、細胞に侵入する際にその細胞受容体であるCD4にまず結合し、次いで共受容体CCR5もしくはCXCR4と結合する。新しい侵入阻害剤eCD4-Igは、CCR5を模倣したスルホペプチドにイムノアドヘシンCD4-Igを融合させた形の分子で、HIV-1のEnvタンパク質にしっかりと結合して、これを不可逆的に不活性化する。M Farzanたちは、この阻害剤が大変広い範囲にわたって並外れた効力を発揮し、多様な中和抵抗性HIV-1の100%を中和できたことを明らかにしている。送達にアデノ随伴ウイルスを用いてマカクザルに投与したeCD4-Igは、ウイルスを使った複数回の攻撃投与でサルを感染から守ることが分かった。
2015年3月5日号の Nature ハイライト
神経科学:摂食に対するカンナビノイドの複雑な作用
神経科学:動く前の脳活動
医学:炎症の有益な作用
量子物理学:量子エラー訂正法に大きな進展
材料科学:生体系を模倣した液体ゲーティング機構
有機化学:アリル炭素–水素結合の直接アリール化
免疫学:ワクチン様の作用を持つHIV-1侵入阻害剤
炎症:食品に使われている乳化剤の有害な作用
生化学:天然変性タンパク質が担う調節機能
分子生物学:IRESはオールマイティ