Nature ハイライト
分子生物学:IRESはオールマイティ
Nature 519, 7541
翻訳は全ての生物の遺伝子発現の中心であるが、リボソームの動員やタンパク質の合成開始に用いられるシグナルは、生物のドメインによって異なっている。真核生物も原核細胞もmRNAを翻訳するために高度に保存されたコアリボソーム構造を用いているものの、リボソームが認識するmRNA内のシグナルは真核生物と原核生物でそれぞれ独特である。J Kieftたちは、真核生物にも原核生物にも認識できる普遍的なシグナルがあるのではないかと考え、今回、ウイルス由来の真核生物エレメントIRES(internal ribosome entry site)がこの特性を持つことを報告している。IRESは、構造依存的に細菌および真核生物のリボソームに同様に結合するが、細菌では、IRESが結合するとリボソームの位置の変化が誘導されるのに対し、真核生物のリボソームではこのような変化は見られない。
2015年3月5日号の Nature ハイライト
神経科学:摂食に対するカンナビノイドの複雑な作用
神経科学:動く前の脳活動
医学:炎症の有益な作用
量子物理学:量子エラー訂正法に大きな進展
材料科学:生体系を模倣した液体ゲーティング機構
有機化学:アリル炭素–水素結合の直接アリール化
免疫学:ワクチン様の作用を持つHIV-1侵入阻害剤
炎症:食品に使われている乳化剤の有害な作用
生化学:天然変性タンパク質が担う調節機能
分子生物学:IRESはオールマイティ