Nature ハイライト

気候科学:氷期終了の分析

Nature 522, 7555

古気候研究の主な目標は、氷期と間氷期の状態遷移のような、地球システムにおける主要な状態遷移をもたらす機構を解明することである。最終退氷期(T-I)についてさえ、その機構の解明は極めて困難であり、まして約13万年前に氷期を終わらせた、その前の退氷期(T-II)については、さらに難しい。G Marinoたちは今回、新たなデータと既存のデータを用いて、北半球の著しい寒冷事象であるハインリッヒ亜氷期11(HS11)とT-IIで海水準上昇が最大になった時期の関連を、不確実性の範囲内で実証している。HS11では、南半球の強い温暖化も起こっており、南極の氷床融解を促進したと考えられるバイポーラーシーソーの考え方と一致する。対照的に、T-Iにおける急速な海水準上昇はハインリッヒ亜氷期1よりも明らかに遅れて起こった。おそらく、T-IとT-IIでは、二酸化炭素と日射の条件の違いに応じて根本的に異なる機構が働いて、それぞれの氷期の終了をもたらしたと思われる。

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