Nature ハイライト
気候科学:氷期終了の分析
Nature 522, 7555
古気候研究の主な目標は、氷期と間氷期の状態遷移のような、地球システムにおける主要な状態遷移をもたらす機構を解明することである。最終退氷期(T-I)についてさえ、その機構の解明は極めて困難であり、まして約13万年前に氷期を終わらせた、その前の退氷期(T-II)については、さらに難しい。G Marinoたちは今回、新たなデータと既存のデータを用いて、北半球の著しい寒冷事象であるハインリッヒ亜氷期11(HS11)とT-IIで海水準上昇が最大になった時期の関連を、不確実性の範囲内で実証している。HS11では、南半球の強い温暖化も起こっており、南極の氷床融解を促進したと考えられるバイポーラーシーソーの考え方と一致する。対照的に、T-Iにおける急速な海水準上昇はハインリッヒ亜氷期1よりも明らかに遅れて起こった。おそらく、T-IとT-IIでは、二酸化炭素と日射の条件の違いに応じて根本的に異なる機構が働いて、それぞれの氷期の終了をもたらしたと思われる。
2015年6月11日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:青銅器時代のユーラシアの集団変化
幹細胞:単離された腸幹細胞
太陽物理学:静穏太陽を加熱する方法
材料科学:ハイパボリックメタ表面で光を操る
気候科学:氷期終了の分析
集団遺伝学:ヨーロッパの言語を変えたステップからの大きな一歩
生理学:筋肉のように働く外骨格
幹細胞:初期胚でのレトロウイルスの活性化
細胞生物学:細胞分裂における核膜