Nature ハイライト
集団遺伝学:ヨーロッパの言語を変えたステップからの大きな一歩
Nature 522, 7555
今回D Reichたちは、8000~3000年前に生存していたヨーロッパ人69人の全ゲノムデータを作成した。その解析から、8000~7000年ほど前に現在のドイツ、ハンガリーおよびスペインに当たる地域で、先住の狩猟採集民とは異なる初期農耕民の血縁集団が出現したことが明らかになった。同時代のロシアには、2万4000年前のシベリア人との類似性が高い独特な狩猟採集民集団が生活していた。6000~5000年前までに、ロシアを除くヨーロッパの広い地域で狩猟採集民系統が再び現れた。西ヨーロッパ集団と東ヨーロッパ集団は約4500年前に接触し、現代のヨーロッパ人にステップ系統の痕跡が残された。これらの解析から、新石器時代の人口動態に関する新たな手掛かりに加えて、ヨーロッパのインド・ヨーロッパ語族の少なくとも一部がステップ起源だとする説の裏付けが得られる。この研究で得られた知見は、青銅器時代の古代人101人のゲノムについて調べた別の研究結果(Article p.167)とも一致する。
2015年6月11日号の Nature ハイライト
集団遺伝学:青銅器時代のユーラシアの集団変化
幹細胞:単離された腸幹細胞
太陽物理学:静穏太陽を加熱する方法
材料科学:ハイパボリックメタ表面で光を操る
気候科学:氷期終了の分析
集団遺伝学:ヨーロッパの言語を変えたステップからの大きな一歩
生理学:筋肉のように働く外骨格
幹細胞:初期胚でのレトロウイルスの活性化
細胞生物学:細胞分裂における核膜