Nature ハイライト
がん:小細胞肺がんの遺伝学的原因
Nature 524, 7563
今回、小細胞肺がん110例の全ゲノム塩基配列解読から、ほぼ全ての腫瘍において、腫瘍抑制遺伝子であるTP53とRB1の両対立遺伝子の不活性化という特徴が見られることが明らかになった。TP53およびRB1に変化が見られなかった腫瘍は2例のみで、これらの腫瘍では、クロモスリプシス(染色体粉砕)によるサイクリンD1の活性化が同様の分子レベルの影響をもたらしていた。さらに、小細胞肺がんの25%ではNOTCHファミリー遺伝子の不活性化変異が見られた。前臨床SCLCマウスモデルにおいては、Notchシグナル伝達の活性化により、変異マウスの腫瘍数が顕著に減少し、生存が延長した。この研究から、最も致死的なヒトがんの1つにおける薬剤標的候補がいくつか明らかになった。
2015年8月6日号の Nature ハイライト
がん:小細胞肺がんの遺伝学的原因
分子生物学:RNAに対するエキソソームの柔軟なアプローチ
構造生物学:多剤耐性の構造基盤
統計物理学:複雑ネットワークにおける影響力の大きいノードを見つける
磁性材料:銅とマンガンのデザイナー磁性
地球化学:海洋堆積物中に閉じ込められる北極の炭素
神経科学:ノルアドレナリン回路の構造
エボラウイルス:エボラウイルス系統の進化
環境微生物学:意外にもエネルギー源だったシアン酸塩
細胞生物学:膜分裂の機構を詳細に調べる
がん:ヌクレオチド再利用の特異性
分子生物学:Ribo-Tが新しい合成経路に道を開く