Nature ハイライト
構造生物学:ピエゾ1チャネルの構造
Nature 527, 7576
機械受容陽イオンチャネルは、「メカノトランスダクション」と呼ばれる、機械力を電気化学的シグナルに変換する過程を介して、機械的刺激を触覚、聴覚、血圧調節などのさまざまな生物学的活性に結び付けている。ピエゾ(Piezo)タンパク質群は、後生動物の機械受容陽イオンチャネルの小孔を形成するサブユニットであることが最近明らかにされた。そしてピエゾ1タンパク質は、血流のずり応力を感知して血管を適切に発達させ、赤血球の細胞機能を調節し、また細胞の遊走と分化を制御している。今回、マウスの完全長ピエゾ1の低温電子顕微鏡による高分解能構造が報告され、この膜タンパク質は三量体で、3つの羽根を持つプロペラ様の構造があることが示された。ピエゾ1は周縁にあるプロペラに似た「羽根」を機械力センサーとして使い、イオンが通過する中心部の小孔のゲート開閉を行っていると考えられる。
2015年11月5日号の Nature ハイライト
システム生物学:遺伝子制御における位相の調節
微生物学:細菌性バイオフィルム内の効率的な協調
構造生物学:ピエゾ1チャネルの構造
宇宙物理学:初期の原始星進化に見られる質量アウトフロー
量子物理学:捕獲イオン系でのホン–オウ–マンデル効果
高分子化学:手頃な価格のレドックス・フロー電池
材料科学:跳ね返る水滴
有機化学:アルケンのsyn-カルボアミノ化
動物学:成体の性比と性染色体の関連性
神経科学:双極性障害に対するリチウムの有効性を調べるためのiPS細胞モデル