Nature ハイライト
神経科学:双極性障害に対するリチウムの有効性を調べるためのiPS細胞モデル
Nature 527, 7576
リチウムは双極性障害(BPD)で抗躁うつ病薬として広く使用されているが、全ての患者に有効なわけではない。今回F Gageたちは、細胞の表現型の違いを調べるために、リチウムに応答する双極性障害患者と応答しない同疾患患者に由来する誘導多能性幹細胞(iPSC)から海馬歯状回様ニューロンを作製した。双極性障害の患者から得たiPSCに由来する若いニューロンでは、ミトコンドリアの異常と過興奮性が観察された。過興奮性はリチウムに応答する患者由来のニューロンでのみリチウム投与によって回復した。このことから、過興奮性は双極性障害の早期のエンドフェノタイプである可能性が示唆され、iPSCモデルが新しい治療の開発に役立つと考えられる。
2015年11月5日号の Nature ハイライト
システム生物学:遺伝子制御における位相の調節
微生物学:細菌性バイオフィルム内の効率的な協調
構造生物学:ピエゾ1チャネルの構造
宇宙物理学:初期の原始星進化に見られる質量アウトフロー
量子物理学:捕獲イオン系でのホン–オウ–マンデル効果
高分子化学:手頃な価格のレドックス・フロー電池
材料科学:跳ね返る水滴
有機化学:アルケンのsyn-カルボアミノ化
動物学:成体の性比と性染色体の関連性
神経科学:双極性障害に対するリチウムの有効性を調べるためのiPS細胞モデル