Nature ハイライト
Cover Story:古くからの絆:土器で見つかった蜜蝋の痕跡によって、人類がミツバチ生産物を利用しだしたのは農耕開始時期にさかのぼることが示された
Nature 527, 7577
表紙は、フランスのセヴェンヌ山脈で見つかった、中心部が空洞の丸太の中に作られたセイヨウミツバチ(Apis mellifera)の巣。ミツバチの巣の特徴である環が連なった構造が見られる。ミツバチと人類との付き合いは古く、それは岩絵や古代エジプト絵画、あるいは彫り物にミツバチが登場することや、いくつかの考古学的遺跡での蜜蝋の発見例によって示されている。しかし、こうした関係がありふれたものとなったのはいつのことなのだろうか。今回M Roffet-Salqueたちは、土器に残存している脂質残渣から得られた、蜜蝋の存在を示すガスクロマトグラフィーの測定結果を使って、新石器時代のヨーロッパ、近東、および北アフリカ各地に広がる蜜蝋の利用地点を示す地図を作った。蜜蝋は広範囲にわたって使われており、一部の場所では、8000年またはそれ以上にわたり、おそらくは継続的に利用されていたことが明らかになった。従って、ヒトとミツバチの付き合いは、農耕開始初期、もしくはそのもっと前から始まっていた可能性がある。
2015年11月12日号の Nature ハイライト
神経科学:不安と恐怖の調節機構
がん:遠隔転移は酸化ストレスによって減少する
分子生物学:BCL11Aエンハンサーの破壊解析
構造生物学:Na+活性化K+チャネルであるSlo2.2の構造
惑星科学:近傍にある岩石質で地球サイズの惑星GJ 1132b
量子物理学:離れているのにエンタングルした中性原子
量子物理学:反強磁性体の異常性に見られる異常
材料化学:液体なのに多孔性の材料
地球力学:最初の沈み込み帯
経済学:気候温暖化のコスト
DNA:DNA損傷部位での正電荷の役割