Nature ハイライト

DNA:DNA損傷部位での正電荷の役割

Nature 527, 7577

DNA損傷は、全てが切断という形で現れるわけではない。例えば、紫外線や薬剤はDNAの塩基を修飾することがあり、こうした修飾による損傷も修復される必要がある。多くの修復酵素は、「フリッピング」により塩基を酵素の活性部位ポケットに入れ、塩基が損傷を受けているかどうかを調べることで損傷を認識している。今回B Eichmannたちは、セレウス菌(Bacillus cereus)のDNAグリコシラーゼAlkDについて、さまざまな修飾を受けた塩基を含むDNAに結合している複数の状態の結晶構造を解明した。意外にも、塩基のフリッピングは損傷の認識にも触媒作用にも関与してないことが分かった。AlkDは、塩基のフリッピングではなく、ホスホデオキシリボース骨格を走査してアルキル化塩基による正電荷の増加を見つけ出し、次にこの正電荷を使ってグリコシド結合の切断を促進する。これらの知見はAlkDが陽イオンを含む損傷に特異的に働く仕組みを説明している。

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