Nature ハイライト
生態学:海洋生態系の温度バイアス
Nature 528, 7580
気候変動に対する生態系の感受性は、生物種が現在経験している温度もしくは経験していると見られる温度よりも高温または低温を好むかどうかに依存する。今回、世界の生態地域81か所の浅海性サンゴ礁に生息する魚類および無脊椎動物について標準化された調査結果の分析が行われ、既存のサンゴ礁群集では現在の温度と群集内の種の温度ニッチとの間に完全な一致が認められないことが明らかになった。海洋群集は、局所の平均海水温よりも高温または低温を好む種に優占されている場合が多いのである。こうした温度バイアスは、予測される局所的な種消失に対して、温暖化速度の空間的変動よりも大きく関わってくる。今回のデータは、夏季の平均海面水温が約24°Cの海域が、概して群集の変化の影響を最も受けやすいことを示している。
2015年12月3日号の Nature ハイライト
量子物理学:エンタングルメントと真剣に取り組む
がん:がん細胞株の体系的比較
生態学:海洋生態系の温度バイアス
がん:腫瘍を治療薬から守る細管ネットワーク
システム生物学:酸素存在下での発酵は正常な現象である
核物理学:アルファ–アルファ散乱を計算する方法
気候変動生態学:干ばつに襲われた高木を死に追いやる水輸送の機能低下
神経科学:発達障害治療に新たな光
代謝疾患:脂肪中の制御性T細胞のインスリン抵抗性における有害な役割
遺伝学:状況に応じる転写因子